===癌治療に伴う各副作用について===
 
放射線療法による副作用
 
自覚症状としては下記のような症状が現れます。血液検査による数値的な変化は抗がん剤のようにはっきりと現れませんので、放射線治療における数値的な変化はマイルドです。 しかし、副作用はいつまでも続きます。
 
a)放射線宿酔
  放射線治療は2回に分けて治療が行われました。
  一回目は鎖骨から頚部と上咽頭部に分けて照射を受け、それぞれ40グレーの放射
  線量を受けました。
  二回目は上咽頭部のみの照射となり、30グレーの放射線量を受けました。
  一回目、二回目共2日目位から船酔いのような気分になり、時々真っ直ぐに歩く事
  が出来なくなりますが、1週間程経ちますと除々に薄れていきます。
 
b)喉の痛み、飲み込み
  治療中この痛みに一番悩まされました。
  一回目の治療で12~13日を過ぎた頃から喉が赤くなり、食べ物が喉を通る時
  に痛みを感じるようになり、赤色から白色に変色して腫れるようになりまし
  た。
  そうなると食物は当然の事、錠剤を飲む事さえ痛みで出来なくなります。
  一時痛み止め(ロキソニン)を食事前に飲みましたが効果なく、口内を麻痺
  させるうがい薬も調剤されましたが、効き目が無くそれまでエンジョイゼ
  リー(ゼリー状の補助食品)を食事の替わりにしていましたが、これも喉が
  痛くて通らず、エンシュアーH(栄養補助飲料)のみとなりました。
  その後2回目の抗がん剤治療で間が10日程空いたのと、二回目の放射線治療
  は上咽頭患部のみの照射(ピンスポット照射)になった為、喉の痛みは徐々
  に薄れていきました。
 
c)口内炎
  抗がん剤よりもむしろ放射線治療による副作用が強いと思いますが、私は放
  射線室から戻ってきてからアイスノンで照射部を冷やしたり、粘膜を保護す
  るアルロイドプロマックを口の中に含んでいました為か、抗がん剤と同様口
  内炎は出来ませんでした。
  しかし、口内上部の薄皮がめくれ、一週間程口内がヒリヒリとしてお湯や水
  を飲む時に痛みで悩まされました。
  同室の方は口内炎が酷く、食事のときは看護師さん立会いの下、モルヒネを
  使用していましたが、改善されず、途中で放射線治療を中断されました。
 
d)便秘・下痢
  抗がん剤治療の際便秘気味のため、便を柔らかくする薬と腸の動きを活発に
  する薬を飲んでいましたが放射線治療が始まって2日目(一、二回目共)に
  激しい下痢に襲われました。
  3日目以降前述の薬の服用を放射線治療期間中は止めました。
 
e)口渇・味覚障害
  一回目の放射線治療を開始してから13日か14日目頃から何を食べても塩味し
  かしなくなり、水や牛乳まで塩味がするように感じる。
  一回目の治療が終了する頃には、唾液が出なくなり、食べ物が歯や歯茎、上
  顎等にくっついて水を飲みながらの食事となる。
  少し長く話をしていると口内が渇き、舌が上顎にくっつくような感じがして
  上手く話ができず常にお茶や水を手元において置く必要があります。
  退院する頃には”塩味”の症状は軽くなりましたが、その後は食物の味の違い
  が全く分かりません。
  この症状は退院してから現在も続いており、せっかく妻が手を掛けて作った
  料理も味の違いが分からないので、”美味しい”とは言えず辛い日々が続いて
  います。
  放射線治療担当の先生の説明では、個人差がありますが、味の感覚が戻るに
  は3ヶ月から半年くらい、唾液が普通に出るようになるには2年から5年位掛
  かり、たまに元に戻らないケースもあるようです。
  従って、口内ケアー(歯磨き、うがい等)を十分行わないと”虫歯”になり易
  いそうです。
 
f)皮膚炎
  放射線照射部分が日焼けのように赤くなり、その内薄黒くなってきます。
  私も放射線室から戻ってきてから照射部分をアイスノンで冷やしていました
  が、酷くはなりませんでしたが、やはり症状が現れました。
  照射部分はその内つるつるになり、ヒゲが全く生えなくなりました。


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