気まぐれkimokuの癌(上咽頭癌)闘病記

癌(上咽頭)との闘病後日常生活を取り戻し                                        趣味や近郊探訪、小旅行、スポーツ観戦、グルメ等、日々の出来事を気の向くまま記事を書いています。

カテゴリ:◉闘病記 上咽頭癌 > がん発見から入院治療

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上咽頭癌 まれな癌との闘病記

<序章>
 上咽頭癌? 近年、日本人の二人に一人が癌に罹ると云われるようになりました。
   
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癌の種類は色々ありますが、私は「上咽頭癌」に罹ってしまいました。

この癌は非常に稀な癌で、岐阜県でも年に3~5例位しかないそうなので、岐阜県の人口(約205万人)からすると、罹患する確立は0.00015%~0.00024%と、”宝くじ”並です。(40万人~70万人に1人の確率)
そこで、ブログを通してこの癌との”闘病記”を掲載する事にしました。

この癌は、摘出手術が出来ませんので、抗がん剤と放射線の併用治療になります。

従いまして、今後抗がん剤による治療や放射線による治療を受けられる患者様にも参考にして頂ければと思います。

尚、上咽頭癌につきましては次のURLで詳しく説明されております。
http://ganjoho.jp/public/cancer/nasopharynx/をご一読下さい。
    


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 癌発病の原因は様々ですが、上咽頭癌の原因は『EBウィルス』によるものが多いようです。
※上咽頭がんについて http://ganjoho.jp/public/cancer/nasopharynx/
※EBウィルスについて https://192abc.com/59289

入院当時の書類を整理していましたら「血液検査」の結果表がありました。
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赤枠内のEBウィルス抗VCAの値が基準値の160倍、抗EBNA値が80倍となっており、どちらも基準値を大きく上回っており、明らかにこの癌の原因がEBウィルスによるものと思われます。

入院前検査の結果を説明して頂いた岐阜大学病院の担当医も、入院中に放射線治療をして頂いた医師も同じように「EBウィルス」が原因の確率が高いとおっしゃっていました。

EBウィルスは日本人の70~80%が持ち合わせており、まれにバーキットリンパ腫や鼻やのどに悪性腫(癌)等の珍しい癌を引き起こす原因になることも。

EBウィルスの特定の遺伝子が、感染した細胞の細胞分裂周期変え、細胞を”癌化”させると考えられているようですが、原因がはっきりと特定されてはいないそうです。

上咽頭癌はまれな癌で、がん検診や人間ドックでも検査項目が無い上に、発症すると進行が早く(私は発症してから4ヶ月でステージⅡと診断されました)発見が遅れると治療が難しいため5年生存率が40~50%と低くなります。

参考までに『癌』の疑いがあった頃の自覚症状として、当初ある日突然鼻水がぽたぽたと落ちるようになり、病院での診察では「アレルギー性鼻炎」と診断され、暫く鼻炎を抑える薬を服用していましたが、その後暫くするとピンク色の鼻水が出るようになり、これはおかしいと思って詳しい検査を要望して、内視鏡検査で癌病巣が発見されました。
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第六章 退 院
 
①退院に至るまで
  長く辛い入院生活でしたが、9月17日に入院してから121日目の2014年1月15
    日に退院しました。
  入院当初は治療期間が7週間と説明を受けていましたので、早ければ11月中
  旬頃には退院きるものと思っていましたが、化学療法と放射線療法の間に
  空きがある事、当初予定の無かった3回目の化学療法(がん細胞に対してダ
  メ押しする為)が追加された事で、最終的に治療が終了ましたのが年の瀬
  も押し迫った12月30日になりました。
  治療計画が終了しましたので直ぐに退院出来るものと思っていましたが、抗
  がん剤による副用が残っており、更に1ヶ月程は白血球数が減少傾向にあ
  る事やインフルエンザが流行の兆しがある事から、主治医の退院許可が出な
  かったのですが、最終的には自宅に帰っても当分外出は控え、定期的に血液
  検査を受ける事等を条件に退院許可を頂きました。
 
②服用しました薬
  抗がん剤や放射線による副作用を緩和する為の痛み止めや下痢、便秘、腸の
  蠕動運動を助する薬など、多くの薬を服用しました。
  定期的に検査を行う血液検査の結果表を頂き、自分なりに白血球数、赤血球
  数や好中球数等の変化を記録していました。
 
 入院中に服用しました薬の薬袋 薬の薬効と副作用の説明書  血液検査の結果表
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③食事について
  入院当初から10月中旬頃までは普通食でしたが、放射線治療の副作用が強
  なってきた10月中旬以降は主食が粥食に替わり、副食はエンジョイゼリーと
  飲用食品になり、更に11月上旬には全く喉を通らなくなり、エンシュア(栄
  養補助飲料)のみの状態が1週間程続きました。
  2回目の放射線治療が始まった11月下旬には喉の痛みは和らぎ、徐々に粥食
  から普通食へと戻る事出来ました。

 入院当初の普通食       お粥と補助食品      エンシュア(栄養補助飲料)
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④入院中のできごと
※約4ヶ月間の入院生活でその間に色々なできごとがありました。
 
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院内の1階ロビーイベントホールでは定期的に「さわやかコンサート」が開催されました。

入院患者を慰問する形で個人や
グループによるコンサートが開催された他、岐阜大学の学園祭には同好会の箏曲合奏や歌唱グループの合唱等が行なわれ、私や入院されている患者さんの心を癒して頂いたと感謝しています。
 
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10月の初め頃、どなたが展示されたのか分かりませんが、スタッフステーションのカウンターに旬の栗が展示されていました。
 
季節を感じると共に何となく心が癒されます。
 
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10月31日の「ハローウィン」に向けて、下旬頃からは上記の栗に変わり、かぼちゃの置物が展示されていました。
 
11月6日には1階にコンビニのローソンと喫茶店のタリーズがオープンしました。

病院内にコンビニが設置されるのは珍しいのではないかと思います。

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11月下旬には病室から見える山が紅葉し、すっかり秋景色になりました。
 
入院時には半袖で入室したのですが、いつの間にか秋深くなり、つくづく長い入院生活を感じさせられます。
 
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12月に入りますと中庭にXmasに向けたイルミネーションが飾られるようになりました。
 
規模は大した事はありませんが、このようなチョットした事で、私たち入院患者の気持ちが何となく和らぎます。

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第五章 放射線治療

放射線治療は平成21年12月に国内の大学病院としては初めて導入された、最新鋭高精度治療装置通称ノバリスTx)で治療を受ける事になります。
この装置は腫瘍に対してピンポイントで照射出来、画像誘導と併せる事で1mm以内の誤差で照射出来るそうです
又、1回の照射線量を少なくする事により短時間の照射で済み、患者への負担が軽減されるそうです。
 
ドイツ製ノバリス(Novalis)         導入された当時の新聞記事
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①マスクの作成
  放射線治療に先がけ、位置決めと患部を固定する為のマスクを作成します。
  作成は診療台に仰向けになり、お湯で温められた樹脂製の網状の物を患者の
    顔面に押し当てて冷めるまで待つと出来上がりです。 
  診察台に仰向けになってから20分程で出来上がります。
 
最初はこのように平らです。  正面から見たところ     横から見たところ
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位置マーキングをします      出来上がったマスク
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②照射スケジュール
  1回目 10月7日から11月5日
      「照射部位」・頚部から鎖骨に掛けて1回2Gr 20回照射 計40Gr
            ・上咽頭から中咽頭に掛けて1回2Gr 20回照射 計
             40Gr
  2回目 11月20日から12月10日
      「照射部位」・上咽頭に向けて1回2Gr 15回照射 計30Gr(ピンス
             ポット照射)
      ()Grとは放射線量の単位(グレー)で、同一患部で最大70G
         rが限界だそうで、これ以上照射すると周囲の正常細胞まで
         死滅させ、再生が不可能だそうです。
 
 操作室でモニターを見ながら照射  X線画像等を駆使し正確に照射位置を決めます
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  ・初日は位置合わせ等で30分程時間が掛かりましたが、2回目からは照射時
   間が1~2分程で済み、診療台に乗っている時間は10分程で済みます。
  ・放射線照射中は痛み等は全く無く、何となくレーザービーム(ヴィーと
   いった)のような音が聞こえます。
  ・放射線照射は別室の操作室で放射線技師が診療室のモニターを見ながら、
   X線画像と併せてmm単位で位置合わせをして行います。
 
③副作用
  ・上咽頭付近は脳に近く色々な神経が通っており、照射ミスで脳障害が起き
   たり、視覚神経がダメージを受けて失明するような事があるそうです。
  
  ・事前に放射線の先生から説明がありましたので、病室に帰りましてから照
   射部位の冷却と口内はアルロイドブロックを氷状にした物を口の中に含
   み、冷却と口内炎予防に努めるようにしました。
頚部をアイスノンで冷却します
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  ・1回目の1日目から5日目までは何の副作用も現れませんでしたので、こん
   なものかと軽くみていましたが6日目頃から宿酔するようになり、何とな
   く身体が揺れるようで思うように歩く事が出来なくなります。

  ・10日目には抗がん剤の副作用も合わさって白血球数が2000を切り、夕方
   発熱。
   早速ナースコールで看護師さんに連絡すると、担当の先生が来られ、肺炎
   になると癌治療を中断する事になる為、直ぐに抗生物質の点滴と白血球を
   増やす注射を3日間続けました。
   この注射が骨髄を刺激する為腰の周辺が痛だるく、ベッドの位置を変えた
   り、寝返りをしても痛みが治まらずに3日程睡眠不足が続きました。

  ・15日目を過ぎた頃から喉の痛みが強くなり、痛み止めを飲みながら食事を
   しますが、とても喉を通らず普通食から粥食、更にゼリー状の食事へと変
   わりました。

  ・20日目(1回目最終日)頃には喉の痛みは最高潮に達し、とうとうゼリー
   状の食事も喉を通す事が出来ずエンシェアー(どろっとしたジュースのよ
   うな飲み物)になりました。
   ※これも飲めなくなると最終段階として「胃ろう」になるそうです。

  ・第1回目の放射線治療が終わり、続いて抗がん剤の点滴となった為少し間
   が空きましたので喉の痛みは少しずつ解消されていきましたが、味覚障害
   が現れて何を食べても、お茶や水を飲んでも塩味がするようになり、併せ
   て唾液腺がダメージを受けている為全く唾液が出なくなり、口の中はいつ
   も乾燥状態。

  ・口の中が乾燥状態なので、少し長く話をしていると舌がくっつく様な状態
   になり、ろれつが回らないのでそのような時には、水やお茶を飲んで口の
   中を湿らせないと上手く話が出来ません。

  ・2回目の照射は前回の抗がん剤点滴が終了してから間が1日半しかなく、宿
   酔、めまい、食欲不振、倦怠感が強く現れ、洗面や歯磨き等の作業もおっ
   くうになり、放射線治療に行く時以外はただベッドに横たわっている状態
   が続きました。

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第四章 抗がん剤による治療

①抗がん剤の点滴スケジュール
   1回目 2013年09月24日(火)~10月01日(火)
   2回目 2013年11月11日(月)~11月18日(月)
   3回目 2013年12月23日(月)~12月30日(月)
 
②カテーテルの挿入薬液の投与は胸の静脈から行う為、事前に麻酔科でカテー
  テルを挿入してもらいます。
  行く時には自分で行きましたが、帰りは看護師さんが車椅子で迎えに来て下
  さいました。
  カテーテルを挿入した後、レントゲン室に行き挿入部のレントゲン撮影をし
  てから病室に戻りました。

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カテーテルを挿入して           
③化学療法スケジュール
  薬剤師さんが病室に来られ、スケジュール表に沿って副作用やその対応策等
  について詳しく説明がありました。

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化学療法スケジュール表        

④使用する薬液
  ・1日目から5日目  5-FU注(抗がん剤)24時間/日・・・・・副作用が比
            較的軽い
  ・6日目から7日目  シスプラチン注(抗がん剤)24時間/日・・副作用が
            強い
  ・6日目から8日目  カイトリル注+テキサート注(吐き気止め)4時間/日
 
 5-FU注           シスプラチン注       カイトリル注+テキサート注
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 ヴィーンF輸液+硫酸Mg補正液  ポンプで点滴量を管理
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⑤使用する内服薬
   ・1日目から 5日目  ジプレキサ錠(吐き気止め)  1日1回服用
   ・6日目から 8日目  イメンドカプセル(吐き気止め)1日1回服用
   ・9日目から10日目  デカドロン錠(吐き気止め)  1日2回服用
 
イメンドカプセル        デカドロン錠
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⑥副作用
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   通常副作用は1回目より2回目、2回目より3回目と段階的に強くなって現れ
   るそうです。
   理由の一つとして白血球数が段階的に減少していくからだそうです。
 
   ・1回目の2日目までは何の副作用も感じませんでしたが、3日目の朝歯磨
    き中に激しく嘔吐。 昼食後、夕食後も激しい嘔吐に悩まされる。
   ・夜、薬剤師さんが来室し、嘔吐の状況を説明。
    吐き気止めの内服薬をノバミン錠からジプレキサ錠に変更する。
   ・食事は普通食から主食を粥食に変更。
   ・4日目から倦怠感が感じられるものの、吐き気から開放され一安心。
   ・7日目の朝洗面中に気が付いたのですが、口の動きがおかしい。
    看護師さんを呼んで説明をしようとしたが、唇が麻痺していて思うよう
    に話が出来ず、ろれつが回らない。若しかして脳梗塞では?
    看護師さんが直ぐに連絡を取りますと暫くして脳神経外科の先生が来室
    され、診察の結果脳梗塞ではなく、抗がん剤による神経麻痺と診断さ
    れ、夜には治まりました。
   ・2回目は多少吐き気はするものの嘔吐までは至りませんでしたが、1回目
    より倦怠感が強くなり食欲不振や手足のしびれ、めまい等の症状が強く
    なりました。
   ・3回目は放射線の治療を既に終了していた為か、2回目よりも副作用は軽
    く済みました。
⑦コンサート
    点滴期間中入院患者に少しでも癒しになればと、色々な催しが1階のロ
    ビーで開催されました。
 
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左が9月24日に開催された野村博子さん(ピアノ)と小林華子さん(アルトサックス)によるBGMコンサート。
 
右が11月11日に開催された岐阜ボーカルシンガーズによるさわやかコンサート。
 
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9月29日に開催されました岐阜大学病院コンサート。
 
コンサートマスターは、岐阜大学医学部病理学の原明教授指揮は下呂市立金山病院 須原貴志副医院長。
 
クラシック音楽の有名な局を色々と演奏して頂きました。
 
この他に12月24日には岐阜大学医学部室内合奏団によるクリスマスコンサートや、12月27日には岐北中学校合唱部の皆さんによる第115回さわやかコンサートが開催されました。

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